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糖質制限と脂質制限はどっちがいい?40代男性のやり方と選び方

糖質制限と脂質制限の体重減少に大きな差はなく、続けやすいほうを選ぶのが正解です。ケトジェニックは糖質1日20〜50g、ローファットは脂質をエネルギーの20〜25%が目安。持病や服薬がある人の注意点と献立例もまとめました。

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Business Athlete 編集部
木のまな板にのったブロッコリーとアボカド、焼いた鮭の切り身、ゆで卵、ブラックコーヒーのカップ

Key Pointsこの記事の要点

  1. 609人を12か月追った試験では、質に配慮した低糖質食と低脂質食の体重減少に有意な差はなかった。続けやすさで選ぶ。
  2. 糖尿病の薬、とくにSGLT2阻害薬を使っている人は、極端な糖質制限でケトアシドーシスの危険がある。必ず主治医に相談する。
  3. 脂質は食事摂取基準の目標量20〜30%の下限寄り、20〜25%程度に。糖質を強く減らす方法は期間を区切って試す。
目次8
  1. 糖質制限と脂質制限は何が違う?
  2. 研究ではどっちが痩せる?
  3. 自分に合うのはどっち?食生活別の選び方
  4. 始める前に確認することは?持病・服薬・健診の数値
  5. 糖質制限(ケトジェニック)はどうやる?
  6. 脂質制限(ローファット)はどうやる?
  7. 続けるコツは?費用・空腹・筋トレの考え方
  8. 今日からやること

糖質制限と脂質制限は、どちらかが圧倒的に痩せるわけではありません。609人を12か月追った臨床試験では、質に配慮した低糖質食と低脂質食で体重の減り方に有意な差はありませんでした。主食や甘い物をはっきり断つほうが楽なら糖質制限、ご飯がないと続かない人や揚げ物・会食が多い人は脂質制限が合いやすい、と考えてください。持病がある人や薬を飲んでいる人は、どちらも自己判断で始めず主治医に相談してから決めましょう。

糖質制限と脂質制限は何が違う?

食事のエネルギーは、たんぱく質・脂質・炭水化物の3つから来ています。1gあたりのエネルギーは、たんぱく質と炭水化物が約4kcal、脂質が約9kcalです。どちらの方法も「何を減らして総エネルギーを下げるか」の違いと考えると整理しやすくなります。

方法1日の目安主食の扱い
ゆるい糖質制限夕食など1食だけ主食を減らす1日1〜2食は普通に食べる
一般的な糖質制限糖質1日130g未満などとされることが多い量を大きく減らす
ケトジェニック糖質1日20〜50g程度ほぼ食べない
ローファット(脂質制限)脂質をエネルギーの20〜25%程度しっかり食べる

ケトジェニック:糖質を大きく減らし、脂質を燃料にする

体はふだん、ご飯やパンから作られるブドウ糖を主な燃料にしています。糖質を大きく減らすと、肝臓が脂肪酸から「ケトン体」を作り、脳や筋肉がそれを燃料として使うようになります。この状態を「ケトーシス」と呼び、ケトーシスを狙って食事を組むのがケトジェニックダイエットです。

ローファット:脂質を減らし、主食とたんぱく質はとる

ローファットダイエットは、揚げ物や脂身の多い肉、バター・生クリームを使った料理、スナック菓子などを減らす方法です。代わりに、ご飯などの主食、鶏むね肉や魚、大豆製品、野菜を中心に組み立てます。和定食に近い形なので、特別な食材をそろえる必要はありません。

食事摂取基準との距離

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病予防のための目標量を、炭水化物はエネルギーの50〜65%、脂質は20〜30%としています。ローファットはこの枠の中で脂質を下限寄りにする食べ方です。一方、ケトジェニックは炭水化物の目安から大きく外れるため、期間を区切って試すものと理解しておきましょう。

研究ではどっちが痩せる?

体重の減り方に大きな差はない

体重や体脂肪の減り方については、次のような研究があります。

  • 米国で609人を12か月追った臨床試験(DIETFITS)では、質に配慮した低糖質食と低脂質食の体重減少に有意な差はなかった
  • 肥満傾向の男性17人を代謝病棟に入院させ、摂取エネルギーを同じにしたまま通常の食事からケトジェニック食に切り替えた研究では、消費エネルギーはわずかに増えたが、体脂肪の減るペースは速まらず、むしろ緩やかになった
  • 代謝病棟で19人の食事を管理した研究では、同じエネルギー量を減らした場合、脂質を減らしたほうが体脂肪の減少がやや大きかった。ただし6日間と短く、長期では差は小さくなると著者らも予測している

つまり「ケトジェニックだから特別に脂肪が燃える」という根拠は十分ではなく、脂質制限が長期で大きく勝るとも言えません。結果を分けるのは、総摂取エネルギーを下げた状態を続けられるかどうかです。

糖質制限の「最初の急な減少」は水分も含む

糖質を大きく減らすと、始めた直後に体重がストンと落ちます。ただし、その一部は糖質とともに筋肉や肝臓に蓄えられていた水分が抜けた分です。ローファットの最初の1〜2週間は落ち方が緩やかですが、この差を比べても意味はありません。どちらも1か月単位で体重と腹囲の推移を見て判断します。

よくある誤解 「糖質さえ抜けば脂質はいくら食べてもいい」は誤りです。脂質は1gあたり約9kcalと、糖質やたんぱく質の2倍以上あります。総摂取エネルギーが多ければ体重は減りません。

自分に合うのはどっち?食生活別の選び方

どちらが合うかは、今の食生活と「続けられるか」でほぼ決まります。

今の食生活合いやすい方法理由
揚げ物・ラーメン・焼肉が多いローファット脂質を減らすだけで大きくエネルギーが下がる
ご飯やパンがないと満足できないローファット主食を食べられるので続けやすい
甘い物・菓子パン・清涼飲料水が多い糖質を控える方法糖質の多い間食を減らす効果が大きい
少し減らすより、はっきりやめるほうが楽糖質制限・ケトジェニックルールが単純で迷いにくい
食費を抑えたいローファットご飯・豆腐・鶏むね肉など安価な食材で組める
健康診断でLDLコレステロールが高いローファット寄り飽和脂肪酸を減らす方向と一致する

会食や出張が多く、店や料理を選べない人には、主食を断つケトジェニックは続けにくい方法です。迷う場合は、夕食の主食だけを減らす「ゆるい糖質制限」か、揚げ物を減らすところから試し、体調と体重の変化を見て決めても遅くありません。

始める前に確認することは?持病・服薬・健診の数値

糖尿病の薬を使っている人

日本糖尿病学会は、SGLT2阻害薬という糖尿病の薬を使う人で、インスリンの中止や極端な糖質制限などをきっかけにケトアシドーシスが起きていると注意を呼びかけています。血糖値が正常に近くても起こることがあり、重症になると命にかかわります。SGLT2阻害薬は心不全や慢性腎臓病の治療で使われることもあるため、糖尿病でなくても薬の名前を確認してください。

インスリンや一部の飲み薬(SU薬など)を使っている人が急に糖質を減らすと、低血糖を起こすおそれもあります。

そのほか、主治医に相談が必要な人

  • 腎臓病・肝臓病がある人、膵炎や胆のうの病気になったことがある人
  • 健康診断でLDLコレステロールや尿酸値が高いと言われている人(脂質の多い食事や糖質の強い制限で上がることがある)
  • 高血圧や心臓病で薬を飲んでいる人
  • 摂食障害の経験がある人

受診の目安 糖質制限中に強いだるさ、吐き気・嘔吐、腹痛、息苦しさが出たら、中止して医療機関を受診してください。SGLT2阻害薬を使っている人は、とくに早めの受診が必要です。どちらの方法でも、体重が急に落ちる、だるさが続くといった変化があれば受診しましょう。

始める前に、直近の健康診断のLDLコレステロール、中性脂肪、尿酸、肝機能、腎機能の数値を控えておくと、続けるかどうかを判断しやすくなります。数値の読み方は40代の健康診断結果の見方にまとめています。

糖質制限(ケトジェニック)はどうやる?

3つの手順

  1. 期間を決める:まず「2〜4週間」など区切る。開始前の体重と腹囲を測る。健康な人でも始めて数日〜2週間ほどは頭痛やだるさ、集中力の低下が出ることがあるため、重要なプレゼンや出張が続く週は避ける
  2. 糖質の多い食品を置き換える:主食・いも類・甘い物・果物・ジュース・ビールや日本酒を減らし、肉・魚・卵・豆腐・納豆、ブロッコリーや小松菜、きのこ、海藻、アボカドに替える
  3. 1日の食事を組み立てる:肉ばかりにせず、魚と野菜を毎食入れる。食物繊維が不足すると便秘になりやすいため、きのこと海藻は意識してとる

見落としやすいのは、野菜や調味料の糖質です。かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、れんこん、とうもろこしは糖質が多く、春雨、カレーのルウ、すき焼きや焼き肉のたれ、みりんを使った甘い味付けにも注意が必要です。食事を記録アプリで1週間ほど記録すると、思わぬところからとっている糖質に気づけます。

食事平日の例
朝ゆで卵2個、ほうれん草のおひたし、ブラックコーヒー
昼サラダチキン、ブロッコリーとゆで卵のサラダ、具だくさんの味噌汁
夜焼き鮭か鶏もも肉のソテー、きのこと野菜の炒め物、豆腐の味噌汁

外食では、定食をご飯なしか少なめで頼み小鉢を1品足す、居酒屋では刺身や焼き鳥の塩、焼き魚を選び締めの麺やご飯は頼まない、といった決め方をしておきます。ビールや日本酒、甘いカクテルは糖質が多いので、飲む場合も量を決め、合間に水を飲みます。

やめるとき・戻すとき

期間が終わったら、主食を1日1食から少しずつ戻します。戻した直後に体重が1〜2kg増えることがありますが、多くは体に水分が戻った分です。慌てて再び極端な制限に戻らず、1か月ほどの推移で判断してください。その後は、主食を普通盛りの半分程度にするゆるい糖質制限や、次の脂質制限に切り替えると続けやすくなります。

脂質制限(ローファット)はどうやる?

脂質の量を決める

減量中は、食事摂取基準の目標量20〜30%の下限寄り、20〜25%を目安にします。

1日の摂取エネルギー脂質20%の場合脂質25%の場合
1,800kcal約40g約50g
2,000kcal約44g約56g
2,200kcal約49g約61g

脂質を20%より大きく削るのはおすすめしません。脂質は細胞膜やホルモンの材料になり、ビタミンA・D・E・Kといった脂溶性ビタミンの吸収にも関わります。魚の脂に多いn-3系脂肪酸のように、食事からとる必要がある脂肪酸もあります。一方、肉の脂身やバター、ラードに多い飽和脂肪酸は、18歳以上はエネルギーの7%以下が目標です。減らすなら、まず飽和脂肪酸の多い食品からが効率的です。

ポイント 1日の摂取エネルギーは、体重を測りながら決めるのが確実です。今の食事で体重が変わらないなら、そこから1日200〜300kcal程度減らすところから始めると、仕事への影響が少なく済みます。

減らす食品と置き換える食品

最初からグラム単位で計算する必要はありません。入れ替えるだけで、脂質はかなり下がります。

減らす食品置き換える食品
唐揚げ・とんかつ・天ぷら焼き魚、鶏むね肉のソテー、蒸し鶏
豚ばら肉・ひき肉・ソーセージ豚ヒレ肉、鶏ささみ、赤身の牛肉
菓子パン・ドーナツおにぎり、全粒粉パン、バナナ
マヨネーズ・ドレッシングポン酢、ノンオイルドレッシング、レモン
スナック菓子・洋菓子無糖ヨーグルト、果物、和菓子を少量
カルボナーラ・ペペロンチーノ和風パスタ、そば、うどん

調理は、揚げる・炒めるより、焼く・蒸す・ゆでる・煮るを選びます。鶏肉は皮を外し、炒め物の油は小さじ1程度に。ドレッシングは「かける」より「つける」にします。主食は抜かず、玄米や雑穀ご飯、そばのように食物繊維の多いものを選ぶと腹持ちがよくなります。

平日の献立例(1日約2,000kcal・脂質20〜25%程度)

  1. 朝:ご飯茶碗1杯、納豆、卵焼き1切れ、具だくさんの味噌汁
  2. 昼:焼き魚定食か、そば+おにぎり+ゆで卵。コンビニならおにぎり2個とサラダチキン、野菜スープ
  3. 間食:無糖ヨーグルトかバナナ
  4. 夜:ご飯茶碗1杯、鶏むね肉か白身魚の主菜、野菜の副菜2品、汁物

コンビニでは、揚げ物の入った弁当、クリーム系のパスタ、カツサンド、菓子パンを避け、栄養成分表示の「脂質」の欄を見る習慣をつけます。手軽なたんぱく源はサラダチキンの選び方と食べ方も参考になります。会食の日は昼を軽めにし、居酒屋なら刺身、焼き鳥の塩、冷ややっこ、酢の物、焼き魚を中心にします。唐揚げやポテトフライはシェアで1〜2切れまで、締めのラーメンは避けるか半分にします。会食全体の乗り切り方は会食・接待の食べ方戦略で扱っています。

よくある誤解 「低脂肪」と書かれた加工食品が、必ずしも低エネルギーとは限りません。脂肪を減らした分、砂糖が多く使われている商品もあります。エネルギーと炭水化物の量も確認しましょう。

続けるコツは?費用・空腹・筋トレの考え方

それぞれの「崩れ方」を先に知っておく

  • 糖質制限:食費が上がりやすく、外食やコンビニで選べるものが少ない。調味料やスムージーの糖質を見落としやすい
  • 脂質制限:脂質は胃に長くとどまるため、急に減らすと空腹を感じやすい。菓子パンや清涼飲料水、和菓子でエネルギーを取り戻しやすい

脂質制限で空腹がつらいときは、たんぱく質のおかずを1品増やし、野菜やきのこ、海藻でかさを増やします。間食は1日200kcal程度までを目安にしましょう。

筆者がケトジェニックを試してわかったこと

筆者はケトジェニックダイエットを実践したことがあります。始めて1週間ほどで体が引き締まったと感じ、最初の1か月で体重は約4kg減りました。ただし、この中には水分の減少も含まれていたはずです。

一方で、食費はダイエット前の2倍近くに増えました。ランチの店では選べるものが少なく、始めたばかりの頃は仕事中に頭がぼんやりする感覚もありました。朝はブラックコーヒーにMCTオイルを5mLほど入れていましたが、これはあくまで筆者の習慣で、MCTオイルで脂肪が燃えやすくなると言える根拠は十分ではありません。ケトジェニックは「費用」と「仕事への影響」を見込んだうえで、期間を決めて試す方法だというのが実感です。

筋トレと組み合わせる

減量中は脂肪と一緒に筋肉も減りやすいので、どちらの方法でも週2〜3回の筋トレとたんぱく質の確保を組み合わせます。ローファットは主食をとれる分、筋トレのエネルギー源となる炭水化物を確保しやすい方法です。「減量しながら筋肉を大きく増やす」ことは誰にでも期待できるわけではないので、まずは筋肉を落とさないことを目標にしましょう。食事と運動を合わせた減量全体の進め方は40代男性が痩せるにはにまとめています。

今日からやること

  1. 飲んでいる薬の名前を確認し、治療中なら次の受診で主治医に相談する
  2. 直近の健康診断のLDLコレステロール・中性脂肪・尿酸・肝機能・腎機能の数値を控える
  3. 今日の食事で、揚げ物・脂の多い肉と、主食・甘い物のどちらが多いかを数え、合いそうな方法を1つ選ぶ
  4. 選んだ方法で、2〜4週間の期間と、1日分の献立(または脂質のグラム数)を決める
  5. 体重は毎朝、腹囲は週1回測り、1か月単位で推移を見る

FAQよくある質問

Q糖質制限と脂質制限はどちらが痩せますか?

米国で609人を12か月追った臨床試験では、質に配慮した低脂質食と低糖質食の体重減少に有意な差はありませんでした。どちらが優れているかより、自分の食生活で続けやすいほうを選ぶことが大切です。

Qケトジェニックダイエットは普通の糖質制限と何が違いますか?

糖質を減らす点は同じですが、ケトジェニックダイエットは糖質をさらに強く抑え、一般に1日20〜50g程度まで減らします。その分のエネルギーを脂質でとり、体がケトン体を主な燃料として使う状態を目指す点が違います。

Q脂質はどこまで減らしてよいですか?

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、脂質の目標量はエネルギーの20〜30%です。1日2,000kcalなら約44〜67gにあたります。減量中は20〜25%程度を目安にし、それより大きく削るのは避けましょう。

Q持病があったり薬を飲んでいたりしても始めてよいですか?

自己判断で始めないでください。糖尿病の薬は低血糖やケトアシドーシスの原因になることがあり、腎臓病・肝臓病・膵炎・脂質異常症・痛風などがある人も悪化のおそれがあります。治療中の人や薬を飲んでいる人は、必ず主治医に相談してから決めましょう。

Q糖質制限を始めてすぐに体重が落ちるのは脂肪が燃えているからですか?

最初の数日の急な減少には、糖質とともに体に蓄えられていた水分が減る分が含まれます。体脂肪の減り方は、総摂取エネルギーが同じなら他の食事法と大きな差はないとする研究があります。数週間単位の推移で判断しましょう。

参考資料

  1. 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 厚生労働省
  2. 糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation 日本糖尿病学会
  3. Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults: The DIETFITS Randomized Clinical Trial(JAMA 2018) PubMed
  4. Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men(Am J Clin Nutr 2016) PubMed
  5. Calorie for Calorie, Dietary Fat Restriction Results in More Body Fat Loss than Carbohydrate Restriction in People with Obesity(Cell Metab 2015) PubMed

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。