HIITのやり方と注意点|初心者メニューと有酸素運動との使い分け
HIITと有酸素運動の体脂肪の減り方は研究上ほぼ同じで、HIITは約4割短い時間で済みます。初心者は全力でなくてよく、インターバル速歩から始めるのが安全です。段階別メニュー、週2〜3回の組み方、効果の期間をまとめました。
Key Pointsこの記事の要点
- 研究のまとめでは、HIITと通常の有酸素運動で体脂肪の減り方に差はなく、HIITは約4割短い時間で済んだ。
- 運動習慣のない40代は、体調をセルフチェックしてから、3分速歩と3分ゆっくり歩きのインターバル速歩で始める。
- 頻度は週2〜3回で間を1日空ける。筋トレと同じ日は筋トレを先にし、効果は約10週間を一区切りに判断する。
目次8
体脂肪の減り方で比べると、HIITと通常の有酸素運動の差はほとんどありません。違いは「HIITの方が約4割短い時間で済む」点です。初心者は毎回全力で追い込む必要はなく、体調を確かめてから、3分速歩と3分ゆっくり歩きを繰り返す「インターバル速歩」で始めましょう。慣れたら室内の跳ばないメニューに進み、週2〜3回、間を1日空けて約10週間続けてから効果を判断します。
HIITとは?有酸素運動と何が違う?
HIIT(High-Intensity Interval Training、高強度インターバルトレーニング)は、短い時間の激しい運動と、休憩や軽い運動を交互に繰り返す方法です。ここでいう有酸素運動は、速歩やジョギングのように一定の強さで続ける運動を指します。研究では「中強度持続トレーニング(MICT)」と呼ばれます。
| 比べる点 | 有酸素運動(持続型) | HIIT |
|---|---|---|
| 強さ | 会話ができる程度で一定 | きつい区間と休む区間を繰り返す |
| 1回の時間 | 20〜60分 | ウォームアップ込みで10〜25分 |
| きつさ・負担 | 低め。毎日でも可能 | 高い。休養日を挟む |
| 向いている人 | 運動再開直後の人、疲れている時期 | 体力に余裕があり、時間がない人 |
よくある誤解 HIITは「筋トレと有酸素運動を混ぜたもの」とは限りません。エアロバイクを30秒強くこぎ、90秒ゆっくりこぐのを6回繰り返すのも、立派なHIITです。自重のスクワットやバーピーを使うのは、その一つの形にすぎません。
HIITと有酸素運動、どっちが痩せる?
体脂肪の減り方は「同程度」
2017年に発表された、HIITと持続型の有酸素運動を比べた13件の研究のまとめ(メタ解析)があります。対象は18〜45歳の、肥満または過体重の成人です。平均で週3回・約10週間のトレーニングを行った結果は、次のとおりでした。
- どちらも、全身の体脂肪量とウエストが有意に減った
- 体組成のどの指標でも、両者に有意な差はなかった
- HIITは、必要なトレーニング時間が約40%少なかった
HIITは1回が短い代わりに強度が高く、持続型は強度が低い代わりに時間が長い。結果として、週あたりに使うエネルギーの合計が近くなりやすいと考えると理解しやすいでしょう。体脂肪を減らすうえでは、運動の「種類」より量の合計が大切だと考えられます。
つまり「HIITの方が圧倒的に痩せる」とは言えません。一方で「同じ効果を短い時間で得られる」点は、HIITの確かな利点です。
「運動後も脂肪が燃え続ける」の実際
HIITの宣伝でよく使われるのが、アフターバーン効果です。正式にはEPOC(運動後過剰酸素消費)といい、運動のあともしばらく酸素の消費量が高い状態が続く現象を指します。
現象そのものは本当にあります。ただ、その大きさは期待されるほどではありません。EPOCに関する研究をまとめた2006年の総説によると、EPOCが大きくなる条件の運動でも、その量は運動中の消費の6〜15%程度でした。総説は、体重の維持に効くのは主に運動中に使ったエネルギーの積み重ねだと結論づけています。EPOCを長く続かせるほどの強い運動は、運動習慣のない人にはまず耐えられない、とも指摘しています。
よくある誤解 「HIITなら数分で一日中脂肪が燃える」は言い過ぎです。運動後の上乗せは小さく、HIITも結局は、週に何回続けられるかで結果が決まります。
40代はどう使い分ける?
どちらが優れているかより、今の自分の状況に合うかで選ぶのが合理的です。
| 状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 運動から何年も離れていた | 有酸素運動から | 不慣れな人の急な強い運動は事故が起きやすい |
| 平日に20分も取れない | HIIT(週1〜2回) | 短い時間で同じ程度の効果が期待できる |
| 健診で血圧や血糖を指摘された | 有酸素運動+医師に相談 | 運動で血圧が上がるため注意が必要 |
| 膝や腰に痛みがある | 有酸素運動(低衝撃) | ジャンプを含む運動は関節に負担がかかる |
| 体力がつき、変化が止まった | 一部をHIITに置き換え | 刺激を変えて運動量を確保しやすい |
厚生労働省のガイド2023が勧める「週4メッツ・時」の運動量は、強度が高いほど短い時間で届きます。4メッツの速歩なら60分、8メッツのランニングなら30分で同じ量です。HIITが時間効率に優れるのは、この計算からも説明できます。
実際には、どちらか一方に決める必要はありません。出張先のホテルで15分しかない朝はHIIT、会食続きで疲れている週は速歩だけ、という具合に両方の型を持っておくと、「今日はできない」日を減らせます。1つの方法にこだわるより、週の運動量を途切れさせない方が結果につながります。HIITがきつすぎると感じたら、無理に続ける必要もありません。有酸素運動の時間や時間帯の考え方は、有酸素運動は何分・いつやる?にまとめています。
HIITを始める前に確認することは?
体調のセルフチェック
HIITは時間効率が良い反面、体にかかる負担は大きくなります。厚生労働省の安全指針は、運動中の有害な出来事が起こりやすい場面として、次の2つを挙げています。
- 強度の高い運動を行ったとき
- 普段あまり体を動かしていない人が、急に普段以上の運動を行ったとき
運動から離れていた40代がいきなりHIITを始めると、この2つが同時に当てはまります。指針のチェックシートを参考に、次の項目を確認してください。
- 医師から心臓病や高血圧を指摘されたことがある
- ほかに慢性の病気がある、または治療中で薬を飲んでいる
- 安静時や運動中に胸の痛みを感じることがある
- めまいでバランスを崩すことがある、この1年で意識を失ったことがある
- 運動で悪化しそうな骨・関節・筋肉の問題がある
受診の目安 1つでも当てはまる人は、HIITを始める前に医師に相談してください。特に3と4に当てはまる場合は、運動より先に医療機関を受診しましょう。健診で血圧や血糖を指摘されている人は、40代の健康診断の結果の見方もあわせて確認しておくと安心です。
運動中に胸や首、腕の痛みや不快感、めまい、強い動悸、いつもと違う息切れや疲労感が出たら、すぐに中止します。休んでもおさまらない場合は医療機関を受診してください。
初心者がやりがちな3つの失敗
チェックを通過した人でも、始め方を間違えると数週間で止まってしまいます。
- 毎日やる:効果を急いで連日行い、疲労や筋肉痛で1週間休むことになる
- ウォームアップを省く:冷えた体でいきなり強い区間に入る
- 上級者の動画をそのまま真似る:ジャンプが多く休憩の短いメニューで、フォームが崩れる
準備運動を含めても20分前後に収まるので、準備運動を削る理由はありません。夏場は室温を下げ、運動の前後に水を飲むことも忘れないでください。
初心者は何から始める?段階別メニュー
「HIITは限界まで追い込まないと意味がない」と言われることがあります。しかし、体脂肪の減り方は中くらいの強さの運動と大差なく、強い運動ほど事故が起きやすくなります。初心者は全力でなくていいと考えてください。
- 強い区間は「ややきつい〜きつい」と感じる強さ
- 区間の終わりには、会話が途切れ途切れになる程度
- フォームが崩れたら、その回は終わりにする
強度は数週間かけて少しずつ上げていきます。負荷を一度に上げず、体が慣れるのを待ってから次の段階に進むのが、けがを防ぐ近道です。
ステップ1(1〜2週目):インターバル速歩
最初の2週間は、屋外の歩きで「強弱を繰り返す」感覚に慣れます。信州大学の研究グループが、中高年を対象に効果を検証した方法です。
- 「ややきつい」と感じる速歩を3分
- ゆっくり歩きを3分
- これを5セット(合計30分)
2007年に発表された研究では、平均63歳の男女が5か月間、この方法を週4日以上行いました。その結果、一定のペースで歩いたグループより、太ももの筋力と持久力の伸びが大きく、安静時の収縮期血圧の低下も大きいという結果でした。ジャンプも器具も不要で、関節への負担が小さいのが利点です。
ステップ2(3〜6週目):室内でできる跳ばないHIIT
速歩に慣れたら、室内メニューに進みます。マンションでも下の階に響きにくい、ジャンプなしの構成です。
| 種目 | 強い区間 | 休む区間 |
|---|---|---|
| スクワット | 30秒 | 60秒(足踏み) |
| 静かなもも上げ | 30秒 | 60秒(足踏み) |
| 跳ばないバーピー | 30秒 | 60秒(足踏み) |
| ゆっくりのマウンテンクライマー | 30秒 | 60秒(足踏み) |
| 横へのステップ | 30秒 | 60秒(足踏み) |
| もう一度スクワット | 30秒 | 終了 |
前後には必ず5分のウォームアップと、3分ほどのクールダウンを入れます。ウォームアップは足踏みや肩回し、クールダウンはゆっくり足踏みをしてから軽いストレッチで終えます。合計でおよそ17分です。
- 跳ばないバーピー:しゃがんで両手を床につき、片足ずつ後ろへ伸ばして腕立ての姿勢に。片足ずつ戻して立ち上がる
- ゆっくりのマウンテンクライマー:腕立ての姿勢から、片膝ずつ胸に引き寄せる。腰が上下しないよう、お腹に力を入れる
- 横へのステップ:膝を軽く曲げたまま、左右へ大きく1歩ずつ踏み出す。腕も振ると心拍が上がりやすい
休む区間を60秒と長めにとるのがポイントです。「20秒運動・10秒休憩」のような休憩の短い形式は、初心者にはきつすぎることが多く、フォームが崩れやすくなります。
床で行う種目が多いので、厚手のマットがあると膝や手首が楽になり、音も抑えられます。選ぶときは、厚さ8〜10mm程度で、滑りにくく、体を伸ばしても足が出ない長さのものを目安にしてください。
ステップ3(7週目以降):休む時間を短くする
ステップ2が楽にこなせるようになったら、休む区間を短くしていきます。
- 強い区間30秒・休む区間45秒で6セット
- 慣れたら、強い区間30秒・休む区間30秒で8セット
- さらに余裕があれば、種目を入れ替えて刺激を変える
時間、セット数、休憩のどれか1つずつ変え、一度に複数の条件を変えないことが大切です。
週何回やる?筋トレや有酸素運動とどう組み合わせる?
頻度は週2〜3回、間を1日空ける
頻度は週2回から始め、多くても週3回までにします。先ほどの研究のまとめでも、平均的な頻度は週3回でした。HIITの日は連続させず、しない日は完全に休むか、速歩などの軽い有酸素運動に充てます。
筋トレと同じ日なら、筋トレを先に
筋トレと持久系の運動を同じ日に行うときの順番は、2018年に研究のまとめが出ています。
- 筋トレを先にした方が、下半身の最大筋力の伸びがやや大きかった(平均約4kg)
- 持久力(最大酸素摂取量)の伸びは、順番による差がなかった
筋肉をつけたい、落としたくないという40代は、筋トレ→HIIT(または有酸素運動)の順が合理的です。体脂肪の減り方に順番が大きく影響する、という確かな根拠は今のところ見当たりません。
HIITと有酸素運動を同じ日に行う場合
同じ日に両方を行うこと自体は問題ありません。気をつけたいのは合計の負担です。
- HIITを先に、元気なうちに行う
- そのあとの有酸素運動は、会話ができる速歩程度で10〜20分にとどめる
- HIITの翌日は休養か、軽い有酸素運動にする
HIITの後にさらに長く走るような組み方は、疲労を重ねるだけになりがちです。翌日に脚が重く、運動そのものが嫌になれば本末転倒です。在宅勤務の日なら、始業前にHIITを15分、夕方の買い物ついでに速歩を20分、と時間を分けるのも一つの方法です。
1週間の組み合わせ例
ガイド2023の目安(息が弾む運動を週60分以上、筋トレ週2〜3日)を満たしつつ、HIITを週2回入れる例です。
| 曜日 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 月 | 筋トレ(全身)→軽い速歩 | 30分 |
| 火 | 速歩またはバイク | 30分 |
| 水 | HIIT(ウォームアップ・整理運動込み) | 20分 |
| 木 | 休養(通勤で歩く程度) | ― |
| 金 | 筋トレ(全身)→軽い速歩 | 30分 |
| 土 | HIIT+速歩10分 | 30分 |
| 日 | 休養か長めの散歩 | 自由 |
会食や出張で崩れた週は、HIITを速歩に置き換えるだけで十分です。
効果が出るまでの期間は?
体脂肪は「約10週間」を一区切りに
先ほどの2017年のまとめでは、週3回・約10週間で体脂肪量とウエストが減っていました。一方で、体重はほとんど変わっていません。インターバル速歩の研究も、筋力や血圧の変化を確かめたのは5か月間続けた後でした。どちらも、数週間ではなく数か月単位で効果を見ています。
- 1〜2週間で見た目が変わることは期待しない
- 判断は、8〜12週間続けてからにする
- 体重計より、ウエストの変化と、同じメニューの楽さで進歩を測る
記録は、日付、メニュー、休む区間の秒数、終わったときのきつさの4つで十分です。数週間分を見返すと、同じメニューが楽になっていることに気づけます。体重が動かない時期でも、それが続ける力になります。
体重を落としたいなら、食事を整える
HIITでも持続型でも体重はほとんど変わらなかった、という結果は、運動だけで体重を大きく落とすのが難しいことを示しています。会食や間食が多いままでは、どちらを選んでも結果は出にくいということです。減量を目指すなら、HIITを始めるのと同時に、会食の多い週の食べ方や間食の量を見直しましょう。お腹まわりが気になる人は40代男性の内臓脂肪を減らす食事と運動を、過去にダイエットが続かなかった人はダイエットが続かない原因と対策もあわせて確認してください。
今日からやること
- チェック項目を確認し、当てはまる人は医師に相談する
- 運動から離れていた人は、今週3分速歩と3分ゆっくり歩きを5セット、2回行う
- 室内メニュー用に、運動スペースとマットを用意する
- カレンダーに週2回のHIITの日を、1日以上空けて書き込む。筋トレと同じ日は筋トレを先にする
- 開始日のウエストを測り、10週間後に比べる
FAQよくある質問
QHIITは運動後も脂肪が燃え続けるので、有酸素運動より痩せますか?
運動後に消費が高まる現象(EPOC)は実際にあります。ただし研究のまとめでは、その量は運動そのものの消費の6〜15%程度とされています。減量への寄与は小さく、体重管理の主役はあくまで運動中の消費量の合計です。
QHIITは全力でやらないと意味がありませんか?
初心者が毎回全力を出す必要はありません。強い区間は「ややきつい〜きつい」と感じ、終わりの数秒は会話が難しくなる程度で十分です。フォームが崩れるほど追い込むと、けがのリスクが上がります。強度は数週間かけて上げましょう。
QHIITは毎日やってもいいですか?
初心者には勧めません。強度が高く疲労が残りやすいため、週2〜3回、間に1日以上空けるのが基本です。HIITをしない日は、速歩などの軽い有酸素運動や休養に充てると、週の運動量を保ちながら回復できます。
Q筋トレと有酸素運動やHIITは、どちらを先にやるべきですか?
研究のまとめでは、筋トレを先にした方が下半身の筋力の伸びがやや大きく、持久力の伸びは順番で変わりませんでした。筋力や筋肉を優先したいなら筋トレを先に、という考え方が合理的です。
QHIITの効果はどれくらいで出ますか?
肥満傾向の成人を対象にした研究のまとめでは、平均で週3回・約10週間のトレーニングで体脂肪とウエストが減っていました。1〜2週間で見た目が変わるものではないので、まず8〜12週間続けることを目標にしましょう。
参考資料
- The effects of high-intensity interval training vs. moderate-intensity continuous training on body composition in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis(Obesity Reviews, 2017) Wewege M ほか
- Effects of exercise intensity and duration on the excess post-exercise oxygen consumption(Journal of Sports Sciences, 2006) LaForgia J ほか
- The physiological effects of concurrent strength and endurance training sequence: A systematic review and meta-analysis(Journal of Sports Sciences, 2018) Murlasits Z ほか
- Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people(Mayo Clinic Proceedings, 2007) Nemoto K ほか
- 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版 厚生労働省
- 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 身体活動・運動を安全に行うためのポイント 厚生労働省
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。